ネットで某社の自動車用CVT(無段変速機)の断面図と側面図を見つけたので、Fusionを使ってモデルを作成してみました。

細かい寸法や歯車の諸元は適当です。
図の黄色い部品が、CVTの変速を行う「金属ベルト」です。ベルトというと、スクーターのゴム(樹脂)ベルトを思い浮かべるかもしれませんが、これは全く異なり、金属製で「プッシュベルト」と呼ばれます。一方、ゴム(樹脂)ベルトは「プルベルト」です。プルベルトは、機構学の教科書に載っている「摩擦伝動ベルト」で、「引張」で動力を伝えます。
自動車用CVTに使われる金属ベルトは、主に「圧縮」で動力を伝えるため「プッシュベルト」と呼ばれます。ただし、圧縮だけではベルトは成立しません。ベルトは円周上にあるため、押すとプーリーから浮き上がります。これを抑えるためには「張力」が必要です。
金属ベルトは、工具鋼製の約400個の「エレメント」と、マルエージング鋼製の厚さ0.2mmの「リング」6~12枚×2セットで構成されています。工具鋼はベアリングなどに使われる硬く摩耗しにくい材料です。マルエージング鋼は「超強力鋼」と呼ばれ、コバルトなどの希少成分を含むため非常に高価です。しかし、この「張力」は、薄くて高強度(高靭性)のマルエージング鋼製リングによって支えられています。

エレメントとリングという2つの構成要素が、それぞれ異なるピッチ半径を持つため、動力伝達の力学は複雑です。プッシュとプルが作用し合い、エンジンのパワーを伝えています。
「金属ベルト」と言えば、一般的にはこのプッシュ方式を指しますが、「金属チェーンCVT」というものも存在します。これは主にスバルで採用され、自転車のチェーンのようなコマが数百個、縦横に連結されています。この方式は「プルベルト」です。
これから、おいおいCVTの話題についても触れていく予定です。