QCADによるプロチュバランスホブの創成図作成

プロチュバランス(こぶ)付きホブは、後工程(シェービングやグラインディング)工具の干渉を避けるために、歯車の歯元にアンダーカットをつけるように設計されたホブです。このホブによる創成図をQCADで描いてみます。

図1.完成図
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3Dプリンタで作る遊星歯車と不思議遊星歯車

歯車を作るためにCREALITY社のEnder3 V3 KEという3Dプリンターを導入しました。

下の写真は、このプリンターで製作した遊星歯車と不思議遊星歯車を、タミヤ製の遊星ギアボックスで動かしている様子を示しています。

図1.製作モデル
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不思議遊星歯車の転位設計(3)

前回作成した不思議遊星歯車の歯数探索&転位設計プログラムを使った結果を紹介します。下図はその一例で左から減速比115、189,351,612のモデルです。入力要素は赤のサンギヤ、固定要素は青のリングギヤ、出力要素は黄色のリングギヤとなっています。

図1.減速比115,189,351,612完成モデル


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不思議遊星歯車の転位設計(2)

前回の「不思議遊星歯車の転位設計(1)」では、特定の歯数と既知の中心距離の組み合わせに適用する転位係数の計算法を紹介しました。その後、いろいろ文献を調査した結果、以下の資料に記載された方法が妥当と判断し、その考え方にしたがって歯数設計と転位設計を行うプログラムを開発したので、その内容を紹介します。
「不思議遊星歯車機構減速機の最高効率に関する研究」堀他、日本機械学会論文集C編 60 (579), 3940-3947, 1994

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不思議遊星歯車の転位設計(1)

不思議遊星歯車が大減速比を得られる仕組みがわかったので、つぎにそれを実現するための転位設計方法の一例を紹介します。基本は前回記載の中田先生の文献によります。

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不思議遊星歯車とその速度比の算出法(2)

先回の「不思議遊星歯車」はピニオンとサンギヤ1セットに歯数違いのリングギヤが2個から成っています。この形、つまり1つの歯車に2つの歯数違いの歯車を同じ中心距離で組み合わせた機構には「mechanical paradox」という名前が付きます。

それによく似ているのですが、2個のリングギヤにそれぞれ異なる歯数のピニオンを組み合わせるタイプもあります(図1右)。こっちも大減速比を得られるのですが、「不思議遊星歯車」ではなく、「3K型複合遊星歯車」と言うようです。(3Kとは遊星歯車の分類方法の一つで、他に2K-H等あり)。だからタイトルは正しくないかもしれませんが、同じカテゴリーなので、このままいきます。

今回はその機構の紹介です。

図1.不思議遊星と呼ぶ・呼ばない
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不思議遊星歯車とその速度比の算出法

はじめに

今回は、「不思議遊星歯車」と呼ばれる機構の紹介です。この機構は英語で「Mechanical Paradox Planetary Gear」と呼ばれ、元々は考案者の名前の付いた「Furgason's Mechanical Paradox」というアイデアに基づいています。

これから紹介するのは2つあって、1つ目は「遊星微動ダイアル機構」、2つ目は「不思議遊星歯車機構」です。

図1.2つの機構
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