歯車の形に興味のある人に

CADでラックから歯車創成図を書いて3Dモデル化する(2)

前回は創成図を書くところまできました。今回はそれをつかって3次元モデルを作り、igears2モデルと比較します。

3Dモデル化

断面作成

スケッチで創成図の外周を閉じます。マウスオーバーすると青に変化するようになるとOKです。ならないときはどこかオープンになっています。
スケッチで1歯分を作成するため、左右に180/歯数/2=4.5°の半径線を作成し、創成図の歯底部分に接続します。マウスオーバーしたとき、歯の形状で濃い青が浮かんだら、形状はOKです。

図11.押し出し用の準備


「押し出し」で歯の部分を選択して、深さ入れて実行すると1歯のモデルが完成します。

図12.3Dモデル

さらに残り19歯を円形状パターンで複製し結合したのが下図です。

図13.フル3Dモデル

50°を10分割したのですが、外の数分割は歯形形成に関与していない状態です。

igears2モデルとの比較

形状誤差

図15は、今回の創成モデルからigears2モデルをブーリアン処理で引算したものです。5°ピッチで計算された箇所は誤差1μ以下でほぼ正確なのですが、5°ピッチの中間で隙間の極大を生じています。この極大は、計算が連続ではなく離散的に行われたため生じたものです。

  • インボリュート面の誤差は、ラック斜辺による多角形誤差
  • 歯底隅肉部の誤差は、ラック歯先丸みによる円弧と円弧間の谷部誤差

ピッチを細かくすれば急激に縮小するはずです。

図14.igears2モデルと創成図モデル
図15.igears2モデルと創成図モデルの差分布

まとめ

創成図の反転型を用いた歯車モデルが作成できました。
今回の方法とigears2の数値計算という全く異なる2つの方法で形状が一致したことにより

  • この方法は正しく創成原理を再現している
  • igears2の歯形曲線も正しく計算されている

と考えます。

次回は、歯車創成図を分析して、創成運動の理解をより深められるようにしたいと思います。