LibreCADの2回目です。1回目のラックに引き続き、外歯、内歯のピニオンカッタによる創成図を作っていきます。
作成するモデルの概要
外歯車、内歯車ともを原点とする下図のレイアウトで作成します。作成する外歯車は歯数20、内歯車は歯数60です。
歯数20の外歯モデル
作成したピニオンカッタが、固定したワークの外周を転がる時(図1左図)の軌跡を重ねて創成図を作成します。モジュールm=1,ピニオンカッタ歯数zp=20,ワークの歯数zw=20とします。
作成したピニオンカッタモデルをクリック
「メニュー」→「ツール」→「変更・修正」→「二点で回転」クリック
画面右下のコマンドラインに「絶対参照点指示」と表示されるので「0,-20」を入力(このy値をAとする)
ワーク中心O2点の座標(0,-20)。中心距離計算式から-m(zp+zw)/2として求める。
コマンドラインに「相対目的点を指示」と表示されるので「0,0」を入力
カッタ中心O1点の座標(0,0)
回転2オプションのダイアログ表示されるので次を入力します。ピニオンカッタの回転角度n=1°きざみとしています。
- 「複数複写」にチェックいれて、「360」を入力します。(n=1なので1°×360回=360°計算。これをB値とする)
- 「角度(a)」に「1」を入力します。(n=1、これをC値とする)
- 「角度(b)」に「1」を入力します。(ピニオンカッタが1°回転した時のワークの回転角度。n×zw/zpとして求める。これをD値とする)
A,B,C,D値は、ピニオン歯数zpやワーク歯数zw、モジュールmによって変わります。
B値は全体モデルでは360deg、部分モデルでは90degなどですが、出来栄え見ながら決めます。A,B,C,Dは、角度(a)がnとすれば次の表の計算で求まります。
A | B | C | D |
---|---|---|---|
-m(zp+zw)/2 | 360/n | n | n*zw/zp |
下表は歯数を変えたときの例です。
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
n=1,m=1,zp=20,zw=20 | -20 | 360 | 1 | 1 |
n=1,m=1,zp=20,zw=10 | -15 | 360 | 1 | 0.5 |
n=1,m=1,zp=20,zw=50 | -35 | 360 | 1 | 2.5 |
- C値は公転運動で、D値は自転運動であり、CとDの比は歯数比の逆数です
- C値nが小さいほど緻密で多角形誤差の少ないメッシュとなります
- A値は2つの歯車間の中心距離です
「OK」クリック
次の創成図を表示します。内側の白抜き部分が歯車の実体となります。
歯先円、基準円、歯底円を追加したのが下図です。カッタの歯元のたけが1.25なので、創成図上のワークの歯先のたけは1.25になりますが、実際の歯車は歯先のたけ1に前加工済みです。
下図(a)は歯車実体周辺、(b)は5歯のみ90°回転、(c)は歯車実体部との境界線、(d)は1歯拡大図
歯数60の内歯モデル
作成したピニオンカッタが、固定したワークの内周を転がる時(図1右図)の軌跡を重ねて創成図を作成します。
作成したピニオンカッタモデルをクリック
「メニュー」「ツール」「変更・修正」「二点で回転」クリック
コマンドラインに「絶対参照点指示」と表示されるので「0,-20」を入力
ワーク中心O2点の座標(0,-20)
コマンドラインに「相対目的点を指示」と表示されるので「0,0」を入力
カッタ中心O1点の座標(0,0)
回転2オプションのダイアログ表示されるので次を入力
- 「複数複写」にチェックいれて、「360」を入力します。
- 「角度(a)」に「1」を入力します。
- 「角度(b)」に「-3」を入力します。
ABCD値は、ピニオン歯数zpやワーク歯数zw、モジュールmによって変わります。
360deg回転のとき、角度(a)がnとすれば
A | B | C | D |
---|---|---|---|
-m(-zp+zw)/2 | 360/n | n | -n*zw/zp |
下表は歯数を変えたときの例です。なお、標準内歯車は、34未満の歯数になると歯先がインボリュートではなくなるので、34歯以上にします。
A | B | C | D | |
---|---|---|---|---|
n=1,m=1,zp=20,zw=40 | -10 | 360 | 1 | -2 |
n=1,m=1,zp=20,zw=60 | -20 | 360 | 1 | -3 |
n=1,m=1,zp=20,zw=100 | -40 | 360 | 1 | -5 |
「OK」クリック
次のような創成図を表示します。外側部分が歯車の実体となります。
(a)は歯車全歯、(b)は5歯のみ90°回転した状態です。
まとめ
- 今回作成の外歯車、内歯車、前回のラック歯車の創成図拡大図をまとめて図7に示します。なかなか美しくて、いいですね。