歯車の形に興味のある人に

創成法で歯形から工具形状を求め、その形状から元の歯形を再現する

LibreCADで外歯車、内歯車、ラック歯車創成図が簡単に描ける(1) - 歯車のハナシ
では、ピニオンカッタからラック歯車が作れると言いました。言い換えると、歯形から工具形状を導いたことになります。

また、
CADで正確なインボリュート歯形と歯元隅肉曲線を描く - 歯車のハナシ
を始めとするシリーズでは、ラック工具の形状から歯形を求める方法を紹介してきました。

ということは、①工具形状から完成品歯形を求める、②完成品歯形から工具形状を求める、の双方が可能になったことを意味します。

そこで、角型スプラインをテーマに、そのホブ形状を求め、ホブ形状から元の角型スプラインを作成してみました。

図.今回の実施内容


角型スプラインからホブ形状を求める

  • 角型スプラインを作成します。JIS B1601より溝数6×小径23×大径26、スプライン幅6を選択しました。
  • スプラインを滑らさずに転がる時の軌跡を計算します
  • 軌跡の包絡線がホブ(ラック)形状です
図1.角型スプライン形状からホブ形状

この変換はLibreCADで実施しました。

ホブ形状から角型スプライン形状を求める

  • 作成したホブ形状とワークを同期回転します
  • ワークを固定して考えるとホブは移動後回転します。その軌跡が創成図となります
  • 下図(c)の創成図の包絡線(黒線)が求めるスプライン形状で、もとのスプライン(赤線)と形状が一致しています
図2.ホブ形状からスプライン形状

この変換はAutodeskFusionの自作スクリプトで実行しました。もう少し体裁が整ったら公開しようと思います。任意の形状の歯が作成できるはずです。

(2024.02.09追記)

LibreCADでホブ形状から角型スプライン形状を求める

無料のLibreCAD,QCADで外歯車のホブ創成図を描く - 歯車のハナシの方法を適用することで、ホブからスプラインを復元することが可能になりました。すべてLibreCAD上で完結し、スクリプトの類は使いません。

手順

ホブ形状の谷部分とその両サイドを選択してメニュー「ツール」「変更修正」「二点で回転」クリックします。

画面右のパネル下段にあるコマンドラインに「絶対参照点指示」と表示されたら(0,0)、相対参照点指示と表示されたら(0,100000)を入力します(カッコは含まず)

「回転2オプション」ダイアログが表示されるので、「複数複写」にチェックを入れて「40」、「角度(a)」に「1」、「角度(b)」に「13/100000」を入力して「OK」クリックします

左半分が完成します

ミラーコピーで右半分作成して完成
図.ホブからスプライン形状創成